校長からのメッセージ

ロスト・イン・トランスレーション

 生徒とのランチミーティングで、Globalization(グローバル化)という言葉から何を連想するか、話してもらいました。言葉の意味や定義を尋ねているのではないので、生徒それぞれ思いつくまま、各自の心象を語ってくれました。私自身はGlobalizationという言葉から、最近NHKのBS放送で観た「ロスト・イン・トランスレーション」というアメリカ映画(ソフィア・コッポラ監督)を思い出しました。
  
 ウィスキーのCM撮影の為に来日した年配俳優が主人公で、映画は滞在する新宿のホテルでのCM撮影から始まります。日本人監督の演技指示を、通訳者が英訳して伝えますが、誤訳も重なり、監督の意図が充分主人公に伝わりません。監督は激昂、主人公が疲弊していく様が印象的です。この「何か違う、少しずれている」という感覚が、滞在中の生活でも蓄積され、疎外感が溜まっていきます。映像(カット)が訴えてくるのは、人が理解し合うことの根源的な難しさのようなものです。

 この映画で撮影された街の風景は、日本人が普段目にする東京の景色というよりも、異国人の目には、このように映るかもしれないエトランゼの風景です。「同じ景色が、見る人によって異なって見える」ということ。これが、この映画から連想する私のGlobalizationです。人はそれぞれ、置かれた環境や価値観によって、ものの見方・考え方が違ってくるのは当然で、誰が正しい訳でもありません。人が理解し合うことは至難ですが、まず自分と他人は、見え方が違うと納得して初めて、世界のダイナミズムが分かってくる・・・必ずしも映画のテーマではありませんが、映像からinspireされた私の感想です。 (因みに私の贔屓の女優スカーレット・ヨハンソンが主人公の相方を演じており、個人的favorite movieです)

  校長 田子 一郎

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